ねこになりたい

にゃのにゃによるにゃのための雑多な記録

「鬼畜」を観た。

松本清張原作の映画「鬼畜」を観た。

 

2017年の年末、テレビ朝日系でこの映画のリメイクドラマが放送された。それを観た勢いで映画の方も、ということで観た。昔やってた他局でのドラマも観たり、原作も一応読んだ。

 

映画版のキャストは、主人公の印刷屋の亭主が緒形拳、その妻が岩下志麻、印刷屋亭主の愛人が小川真由美。あらすじはwikipediaなどにまかせるとして、緒形拳が本当にダメな男にしか見えなくてすごい。四六時中睨みをきかせて夫をののしり継子達を虐待する妻。それになにも抵抗できず、言いなりになって子供達を手にかけていく亭主。鬼のようになった妻を毎日目の当たりにしていたら正常でいられなくなっていくのかもしれない。元々の不器用な性格があった上でのおろおろしたり情けなかったり、そういう態度がどんどんリアルに見えてきて、緒形拳すごいと思った。

 

原作にはなかったラストシーン。父親に殺されそうになるも助かった長男が、警察で父親との面通しさせられた時に「違う、お父ちゃんじゃない、知らないおじちゃんだよ」と最後まで嘘を突き通す。父親の罪をかばう目的もあったかもしれないけど、それより「お父ちゃんにとって自分は居ない方がいい存在なのだから、始めから自分とは何の関係もなかったことにしてしまえばいい」という気持ちが大きかったんじゃないか思った。自分の心を守りながら結果父親を見捨てた形になったというか、天涯孤独になる決意表明というか。

 

最後、養護施設に送られるための車に乗る長男。そこへ婦警さん(大竹しのぶ)が見送りに来て、車の窓からかけた一言が「お母さんがきっと迎えに来てくれるわよ」。なんて残酷な言葉を言うんだよ……そんなの誰も迎えにくるわけないじゃん……と思った。が、この子の哀れさを念押しする演出なのかもしれない。最後の長男役の子の目つきというか表情が真に迫っていてよかった。

 

それにしても長男、毒(青酸カリ)の入った食べ物を食べさせられそうになった時は、必ず「これ嫌い!」と言っていた。なにか毒を食べさせられてるということは分かってただろうに「毒が入ってる!」とか「変な味がする!」とは絶対言わなかった。口から吐き出すことはしたけど。外で誰が見てるか分からないから子供なりに気を遣ったのだと思うと思う、長男くんが賢くて悲しい。

 

末っ子くんは生まれて間もなくで殺されてしまったけど、訳も分からず置き去りにされた長女ちゃんも養護施設に入ったのかな。最初から養護施設に預けるという選択肢がなぜなかったのかとずっと思ってしまう。それだとこの映画にならないけど、実話を元にした話だからな……と思うと本当に救いがない。